未知との遭遇 | アメリカでしのぐウエイトレスのブログ

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バカヤロー!って叫びたいときだってあるんです…。

アメリカのお年寄りは元気だ。


日本のお年寄りより健康だ、という意味ではない。むしろ、長年、身体に悪そうなものを食べ続けたせいで、糖尿や高血圧で悩む人は多いし、車生活のツケで、足腰が弱るのも早そうだ。


それでも、家にひっこまず、杖をついても歩行器を押してでも、着飾って外に出る。


日本人のお年寄りはぜったいに着ないだろうというような、派手なワンピースに真っ赤な口紅のおばあちゃん。逆毛だてた髪は、きっと毎日セットしてるんだろう。おじいちゃんは、ジーンズにスニーカーといったラフな格好なことが多いが、それでもキチンと身だしなみに気を使っているのが分かる。


そういうお年寄りカップルが席を立ち、杖をついてお互いを支えあいながら帰っていくのを見送るとき、


いったいどっちが運転して帰るんだろう。(゚ー゚;


と、少々不安になったりするものだ。


一、二ヶ月前から、毎週同じ曜日の同じ時間にくるようになった、おじいちゃん客。

歩行器を押して一人でやってくる。足腰がそうとう弱っているらしく、店の中まで入ってくるのにすごく時間がかかる。歩行器を押す手には、しっかりと車のキーが握られているのは、彼が自分て運転して、ここまでやってきているという証拠。


すげー。(((゜д゜;)))



おじいちゃんは、なぜかダイニングではなく、店の入り口近くのバーにいつも座る。


アメリカのレストランは、それほど規模が大きくないところでも、入り口にウェイティングバーがあるところが多い。

そこで待ち合わせの相手を待ったり、お酒を飲んだり、気が向いたら軽く食事をすることも出来る。


元々そういう作りであったレストランを改装した日本食レストランにも、その名残で小さなバーが残っていることがある。


が、ほとんどの場合、ウェイティングバーとしては機能しておらず、サーバーが飲み物を作ったり伝票を書いたりする、作業場に成り下がっている。一応、格好だけはバーの様相を呈しているので、ときどき、ウエイトレスに話し相手をさせようとたくらむ、一人客などがそこに陣取ったりする、なんとも曖昧な空間なのである。



このおじいちゃん、無口だし、特に相手をしてもらいたいふうでもない。それに、バーカウンターの椅子はおじいちゃんには高すぎて、折りたたんだ歩行器をささえにして、そしてサーバーがひきずり上げるようにして、ようやくよじ登れるようなシロモノだ。段差はスロープになり、店内の通路、トイレは車椅子が入れなければならない、といったように、アメリカのレストランはバリアフリーがすすんでいるが、このバーの椅子は、足腰の弱りきったおじいちゃんには、かなりの難所だ。それでも、おじいちゃんは、バーに座りたがる。


最近では慣れてきて、片手を折りたたんだ歩行器に、もう一方の手をバーの椅子に乗せて、ワレワレが引きずり上げてくれるのを待っている。orz



家を出て車に乗り込むところから、お気に入りのバーの椅子に引きずり上げられるまで、かなりの困難を乗り越えなければならないはずだが、それでも、毎週同じ時間にやってくる。


よっぽど気に入ったに違いない。




この日も、いつもどおり、おじいちゃんを無事にバーの椅子に引っ張り上げ、私はダイニングの客の相手をしていた。


すると、後ろから同僚ウエイトレスのささやく声が。


助けて、みみちゃん。(´□`。)

セクハラされた。。。orz



振り向くと、真っ赤な顔の同僚ウエイトレスが、固まっている。



え?


セクハラ? まじで?(  ゚ ▽ ゚ ;)


って、真に受けるのは早すぎる。ささいなことで、セクハラセクハラと騒ぐアメ人女が多いのも事実なのだ。

そして、アメ人化した日本人はさらにタチが悪く、アメリカ人と同じ感覚は持ち合わせていないのに、アメリカ人と同じ物差しで物事を測ろうとして、ズレた発言をすることがある。


しかし店には、無敵のハラスメント軍団、スシマンたちもいるし、彼女の表情からしてウソでもなさそうだ。


ふだん無駄に愛想のいい彼女が、こわばった顔でぢっと私を見ている。



聞いてやらねばなるまい…。orz




続く。